ミントの畑

感想文の類いの置き場。

「消滅都市」と物語の終わりについて【前編】

 ブログを作ろうと思ったきっかけの一つ。もうじき7周年になるこのゲームですが、どうも印象が安定しません。私自身単純にゲームとして長く楽しませてもらったのですが、考えることは非常に多かったです。ということで、雑多に今まで考えたことを整理しようと思います。考察…というよりは感想に近いですが何とも言えません。自分のための内容まとめ、と言う方が近そうです。そしてすさまじい長さになってしまったのでお暇な方はどうぞ。

最初にお断りしておくと、ストーリーのネタバレばかりです。また、全てのコンテンツを網羅しているわけではないので、間違っている部分も多くあると思います。具体的には、コンサートやドラマCD、AFTERLOSTのCounterPointなどが未履修です。また、アニメも途中までしか見れていません。(CounterPointは途中までは進めています。)

 

 

プレイ開始時期

初めて消滅都市をプレイしたのは、確か2015年の春だと思います。最初のにゃんこ大戦争コラボがあり、ガチャがめちゃくちゃ渋かった頃です。何かソーシャルゲームでもやってみようと思って探していたところ、ゲーム性が飽きなさそうなのとSFチックなところに惹かれてインストールしました。

 

ただ、この時は端末のスペックの問題で、すぐにプレイできなくなってしまいました。この時は第三章をクリアするかしないか、といったところだったと思います。

それから一年ほど経って、友人がプレイしているのを切っ掛けに復帰しました。入手順で調べると、チュートリアルガチャは「ギャンブレスト ユリ」を引いていたようです。操作に慣れるまではバリアボールにお世話になりました。

初期は「ランクアップクエスト」や「地下鉄からの脱出」といった、謎解きを含むサイドストーリーを楽しんでいました。結局のところ、こういったギミックが好きだったのもあって、長く続いていた部分があるように思います。

常に最新を走っていたかというとそうでもなく、モチベの高い時期は熱心にプレイしていましたが、大体は思い出してふと一気にプレイする、と言った感じでした。そのため、周回すべきクエストを周回していない部分も多くあります。メインストーリーに追いついたのは、「消滅都市2」へのアップデートがあってから少し経ってからの事だったと思います。

 

では、それぞれの章と感想について。

1度目の消滅 Everything in its right place

1~3章ーバイクに乗ってどこまでも

運び屋の男・タクヤは依頼を受けて、ロストから唯一生還した少女・ユキを再びロストに送り届けることになる。というのがおおよそのあらすじ。チュートリアルも兼ねるのであまり話の進みは速くありません。

ロストとは”3年前”に消滅が起こった場所で、クエスト選択画面の背景などから、想定されている位置はおそらくお台場の辺り、東京湾上と思われます。タイトル画面なんかを見ていると都市のど真ん中っぽいのですが…そのあたりはこの世界とは違うということで。アンロスト・パレードやSPR5、アニメの描写だとやっぱり湾岸地帯の描写が多いので場合によりけり。

基本的には目的地に向けて旅をする、というのが、このゲームのストーリー全体のモチーフです。この辺りではただ物語の結末を見ておきたいな、というぐらいのモチベーションでした。実装されているなら読んでおこうという程度。ソウマについても何となく好き、という程度でした。

短編小説集である「消滅都市の片隅で」はこの時の旅が立体的に描かれていて好きです。ゲームでは表現の難しい、廃墟を少しずつ進んでいく感覚は、小説特有だと思います。

3.5章、瞬く日々の終わりをー絡まった因果

ロストに到達した後、帰路で出会った少年ホシの話。小説版消滅都市の逆輸入ということでしたが、3.5章も後味としてはあまり良い物ではありません。食い違ってしまったがために、相手を殺してしまうという流れは、クリスマス時期のイベントである「二人の世界」のスグルとサユの話も近いものがあると思います。しかしもうちょっと…もうちょっと和解に繋がるルートは無かったのかと考えてしまいます。とはいえ、ホシは死んではいないのですが…

それからしばらく経って実装された「瞬く日々の終わりを」はタロット組導入の意味もあるサイドストーリーですが、内容的にはほぼメインストーリーだと思います。不完全燃焼だった3.5章の続きとしても面白いです。大人ホシはその後も時々現れますが、メインの出番はやはり天上の世界での活躍かと思います。

全体として、小さくまとまっていますが、非常に心に残るエピソードだったかと思います。こういったサイドストーリーや、ランキングイベントが良いところを見ると、消滅都市は長編というよりは短編連作的な性質が強いと感じます。

4~5章ーガラスの向こうからの心強い想い

時間は経過し、ロストからの帰還後。4章も5章も、石灰化やら砂漠化やらで一向に状況が良くなるようには思えず、ストーリー的にもピンときません。しかし、独特の演出はこの辺りで強く表れてきます。

まずは観測者の視点を用いた時間遡行と、見たものに別の意味を付与するギミック。参考のところでも言及していますが、シュタインズ・ゲートにも似たギミックがあります。ただし、あちらは観測者は主人公であり、プレイヤーではないのでそこが異なります。

また、「ガラスに触れないで」や、”こっち”に語り掛けてくるギンガなど、はっきりとメタ描写が増えます。それほど珍しくないギミックではありますが、プレイ当時はやはりドキドキしました。今「触った」、そしてそれに向こうが「反応した」という感覚は、消滅都市とのコミュニケーションをしたと錯覚するには十分だったと思います。

ちなみに今「消滅都市 4章」で検索したサジェストに「怖い」って出てきました。怖いとは思います。その怖さは、こちら側/現実世界に干渉しているような錯覚、安全な立場では居られないのではという不安感から来るものではないでしょうか。

しかし、もっとすごい体験をさせてくれるのではないかと思い、次へ次へとストーリーを進めてしまいます。とはいえ、レプリカント軍団など戦闘面でもだんだん厳しくなってくるのでそうも言ってはいられないのですが…ちなみにコズエやクニトのHP×40倍砲が猛威を振るっていた時期にクリアしました。ありがとう清掃委員長…

ところが5章、ロスト・ゼロとリサについてはいまいちピンときませんでした。個人的に苦手なタイプのキャラクターであるというのもあるのですが、どうもぽっと出の感が否めなかったのです。もちろんタクヤとしては古い付き合いの人物なのですが…

ロスト・ゼロもまた、ロストの北部に生じた良く分からない何かであり、またそれか、という感じがあります。どうしたって世界の危機は去らないという…ある種の引き延ばしじみた感覚です。他のストーリーを見るとこの感覚はおそらく表面的な部分しか見ていないからなのですが、当初はそう思いました。

とは言え、ロスト・ゼロ戦の演出はやはり良かったです。途中からの一転攻勢、となるスフィア配置や各種バフを用いた演出など…非常に熱く、やっていて楽しかったです。こういった演出も、この辺りで確立されたのではないかと思います。失われし世界はこれをフルに活用していて、その点でも楽しいです。

観測者とは何だったのか?

さて、観測者(=プレイヤー)という呼び名や、その能力について4章で導入され、「ユキとタクヤ」ではなく「タクヤ」を我々プレイヤーが見守る物語だということがはっきり示されます。ここでプレイヤーは「消滅都市」の世界をメタ的に、外側から認識することになります。そしてそれはどこにあるかというと、「ガラスの向こう」、スマホの中です。メタを扱うゲームは、これをブラウン管の中と表現したり、単なるプログラム、と表現することもありますが、ここではスマホが媒体である必要性があります。そして、入力として「タッチ」で触れ合うということも。

観測者はユキやタクヤに願われるまま、クエストを進めて勝利に導きます。とはいえこの時間遡行については、既に用意された順にステージを選んでクリアするだけなので、そこまで能動的に行動している感覚は無いのですが…ここでは、ユキとタクヤは観測者を完全に「味方」として認識しています。そして、プレイヤーも疑うことなく彼らとともに旅をします。直接何かを示すのは時間遡行という形だけですが、これにより消滅都市側は観測者の存在を、私たちは消滅都市側とのコミュニケーションの可能性を、それぞれ確信します。

とにかく4章時点では、観測者と世界の関係はかなり良好だと思います。

少し話は逸れます。当時、メタ演出を用いたものに触れる機会が多かったため、色々探していたのですが、この物語とのコミュニケーションについては「One Shot」も類似例だと感じました。あとここにUndertaleとoffとDDLCの違いについても書きたいのですが、それは別な機会に。細かい事は省略しますが、こちらのゲームもゲーム側と共に困難を乗り越える話です。そして、ゲーム内の世界とコミュニケーションを楽しむものでもあります。

幸せなメタ演出は良いものです。勿論、対立もまた良いのですが、塩梅が難しいと思います。そして、それは失われし世界以降で顕在化してきます。

蛇足ーアニメについて

アニメは途中までしか見ていないのですが、確か3章終わりあたりまでを映像化したものだと認識しています。非常に期待していたのですが…個人的には普通だなあと思いました。こうしてまとめていて思ったのですが、多分1度目の消滅の話は、私自身がそこまで好きではない、というのがあったのかもしれません。4章以降の演出には心を惹かれましたが、結局私の中ではストーリーがメインではなかったのかもしれません。

しかし、小説と同じように、あの世界を立体的に見る事が出来るという面では良かったです。ゲームとしての演出が好きですが、アニメとしての演出もまた良い物なのでしょう。そのうち続きを見ようと思います。

1度目の消滅は、まだストーリーや人物への感情移入がしっかりとできていませんでした。とはいえやっぱりゲームは楽しく、そこが続けて遊んでいる大きな理由だったのだと思います。イベントやランキングも読んでいて楽しいので。

失われし世界

1章ー終わってしまった世界

決着をつけるためにタクヤが飛んだ先はWorldA、失われし世界。そこにいた赤い髪のユキと契約を結び、今度は「球根」に向けて旅をすることになります。球根が何なのかは良く分かりませんが、とにかく世界をこんな感じに滅ぼした要因の一つなのは確かです。(そしてこの辺りの描写については詳しいことを憶えていません。すみません…)2度目の消滅実装前の、WorldB(1度目の消滅の以前の名称)と表裏一体的なUIも好きでした。ただ、1度目の消滅をクリアしなくてもプレイできるので、そのあたりのネタバレとかのバランスは難しいな…と思います。まあ肝心なところは良く分からないのでセーフな気もします。

WorldA側との時差や、ジョニーウォーカーの話など、色々と興味深い話も多い一方で、まず…戦闘が…辛い!!!どうしても進めるには大分時間が掛かりました。時間制限の演出は怖いですが結構好きでもあります。プツン、と切れて終わってしまうのは、観測の限界ってことなんでしょうか。

また、ツキや2章のタイヨウなどの巨大戦も面白かったです。バイクであることを活かした、「追いつく」戦闘。パーティ編成に特殊な工夫が必要ですごく楽しい演出でした。ちなみに私は免許皆伝は受けていません。EX硬い!!!と言った記憶はあります。

Green Lightと共にリサーチャーたちの通信を受けながら進める戦闘。これも非常に熱い演出です。1度目の消滅の5章の演出からさらに強化された感じです。戦闘の邪魔をせずにリアルタイムで通信を受けながら進んでいく感じは…確かにクエスト読み直し機能を単体で実装させるには難しい、と納得するに足るものかと思います。

2章ーここから始まる物語?

とはいえ、もうとっくに滅んで、生きている人間はごくわずかな世界。球根に到達してどうにかなるのか?というと多分ならない。ソウマは球根の力を使って全てやり直すつもりだった(し、その後も一貫してそれで動いている)のですが、ユキやタクヤが何を求めているかについては正直良く分からないです。読みなおせば分かるのかもしれませんがなんせ難易度が…

ここで現れる勢力はいくつかありますが、みんなバラバラな理由で活動しています。

まずサトル。どっちかと言うとやり直し派でしょうか。この世界のハヅキを取り戻すためにタイヨウを招来し、その力を自分のために使おうとします。しかしそれは呼び出されたタイヨウ自体に返り討ちに遭い、一端舞台から退場します。

次にタイヨウ。こちらは上位の世界に手を掛けようとしているようです。とにかく自分を強くしたい、人間を超えたい、というのがここまでの一貫した目標であり、「大体こいつのせい」枠です。ここで示される「上位の世界」が実に曖昧です。プログラムを書き換えたと言うため、「ガラスのこちら側」(=現実世界)なのか、運営が書いているコードレベルの位置なのか(プログラム、という点でまだ「消滅都市」の内側だが、ユキやタクヤの見る世界よりは上)、はたまたウチュウを引きずり下ろしてきた「イデア界」なのか…とはいえ、大した力ではないので変なギミックを使うこともなく、編成次第で殴り倒せます。かなしいなあ…

次はメシエですが、一応ゲームマスターもここに置きます。メシエは「幸せな夢」の中にユキとタクヤを閉じ込めようとしてきます。この辺りも記憶が曖昧なのですが…基本的にはウチュウの補助をしつつ、彼らにも幸せになってほしいという思いやりなのだとは思います。ところがゲームマスターはそんなことを気にしないので、面白半分に二人にゲームを持ち掛けます。個人的には、ゲームマスターとサトルの関係を示された時の反応が非常に好きです。もう過去はどうでもいいのだと言い切ってしまう狂気が好きでしたね…

最後、大人になったソウマ。WorldBで救われなかった彼が世界線移動しながら選んだ結論として、球根の力を使って全部やり直すという目的を果たすためにこの世界で暗躍します。ところで明示されてはいなかったと思いますが、多分ソウマ・レプリカントと大人ソウマのデザインモチーフはアオミノウミウシなんでしょうか。生物モチーフとは言われていたと思いますが…話が逸れました。とにかくソウマはこの世界がどうなろうと知ったこっちゃないのでこの世界のユキもとりあえず殺しています。(これが原因で何人か敵に回していますが)それでも、全部やり直せば帳消しです。それはそれでいい考え方だと思います。

なんにせよ、敵対した全員を退け、9-3にてとうとう球根内部に突入します。そこでウチュウや守護者とやり合って…最後にはそれでもこれからの現実で、青ユキと一緒にタクヤは生きていく決心をし、赤ユキもそれを後押しします。やっぱりPhases好きですね…クリアは滅茶苦茶時間かかったので許してません。今はトランスアキラとかで色々できるっぽいのでもう少し楽そうですね。

幸せな夢との決別

メシエは、「幸せな夢」の中で暮らすことを提案してきます。というか強引にその中に押し込んできます。それを跳ねのけ、それでも生きていくと言い続ける、というモチーフは、この辺りが初出かなと思います。降臨やイベントストーリー等を含むともう少しありそうな気はします。

しかし、ここで読んでいて良く分からなくなりました。「物語」とはなんなのか?この話を読んでいる私の事さえ、メシエたち上位観測者は馬鹿にしているように感じられました。少し強烈な表現さえ使って、読者の喜びのために登場人物を犠牲にしているのだと観測者を批判します。

ここが「消滅都市」の好き嫌いが大きく分かれる部分だと思います。私は確かに受け入れられない部分も多くあったのですが、それでも衝撃を受けて、今でも色々なものを読むときに思い浮かべることがあります。なので、この表現が嫌いだと、はっきり切り捨てることは出来ません。4章の時と同じく、やはりここでまた引き戻されたのだと思います。この頃は他のゲームをやっていたり、他のクエストを回っていたりしていたのですが、失われし世界を進めていく中で、もっと色々な話を聞きたいと思うようになりました。誰に?もちろん、「上位観測者」たちです。

この時点では、上位観測者=運営のようなものだと思っていました。

  • 物語の人物=ユキやタクヤ、ほとんどの登場人物
  • 上位観測者=メシエ、ウチュウ、ベオ(イデア界=天上の世界の人物)

ーーーガラス(フォースウォール、フィクションと現実の壁)ーーー

  • 観測者=プレイヤー、「消滅都市」の外側、現実世界

 タイヨウは上位観測者になろうとしていたように見えましたが、少し違う感じがあります。あるいは現実世界にぬっと現れるような事さえ夢見ていたのかもしれません(それをどう演出するんだ、という問題はありますが)。しかし、ここで「運営」はどこにいるんだ?となります。失われし世界以降、観測者に向けて、登場人物の誰でもない作者(書き手、もっと具体的に言えばシナリオライターの方本人)が話しかけることが多くあります。ガラスの境界線上に居るような…でもこちら側のような…この時点では結論が出ませんでした。

そしてそこが非常に…癖があるというか…メシエたちが言う通り、この呼びかけもまた自己満足のように見えると思います。この辺りは何を意図して書かれていたのか、考えれば考えるほど分からなくなります。

但し、「プログラム」のようなものは向こうから干渉できる、と言うことになっているようです。タイヨウのマスターデータ編纂発言や、「開発用:トラップチェック」などのギミックですね。ということで、ガラスの向こう側の事象のようです。通常の登場人物(ユキたち)からは観測できませんが、一応向こう側です。

物語と呪い

赤ユキと青ユキの選択や、「悪の概念」としてのタイヨウなど、物語を利用した呪いも失われし世界の特徴です。選択については悪趣味だなあと思わざるを得ません。影響は恐らく無いと言っておきながら、シナリオを分岐させたのですから。但し、これについて本当に集計していたのか、などは分かりません。元々こうなる予定だったのを、そういった演出にしているだけだということも十分に考えられます。

「物語を読む前の自分には戻れない」というのは、実にその通りだと思います。私はこの一文にハッとしました。実際、それが面白かろうとつまらなかろうと、「知ってしまう」ことだけで不可逆になってしまうのですから。この考え方を知れたことは、消滅都市をプレイしていて良かったと思えた最大の点だと思います。

また、概念としてのタイヨウ。ユキの選択と同じく、「知ってしまう」ことにより、二度ともとに戻れないというギミック…と言うよりは暗示的なものですね。一度タイヨウを悪役だと認識し、そのことを本人が言うことで、「悪」という概念と連想することを決定づけます。そして、それを忘れない限り、それを想起しないようにすることは、観測者にはほぼ不可能です。これを現実世界にタイヨウが出てきた、と考えるなら、これも良い演出だなと思います。

但し、概念としての存在としては、個人的にはゲームマスターの方が強烈でした。タイヨウはその後に何度も語られるように…どうしても「人間」としての性質が残っているように見えるのです。ゲームマスターについてもいくつか補足はありますが、彼は自身でその矛盾を受け入れ、不条理の化身としての存在をはっきりと保っています。

 

長い!!!!!(当然)

ということで、分割します。2度目の消滅以降については後編で。