ミントの畑

感想文の類いの置き場。

「消滅都市」と物語の終わりについて【後編】

後編です。こんなに長くなる予定はなかったのですが…いい機会なのでもう全部書くことにします。ということで2度目の消滅からです。

 

 

2度目の消滅 the other side of love

1~2章ー不確かなゴールへの二度目の旅

大人ソウマは死んで(消えて)はおらず、もう一度球根にアクセスしようとします。これは消滅都市2にアップデート後に初めてプレイすると出てくるチュートリアル戦闘ですが…失われし世界をクリアしていなくても出てきてしまうのはちょっとした難点かなと思います。(現在どうなっているかは良く知りません。)

そして始まる「2度目の消滅」。今度は記憶を失ったタクヤを、ユキが助けて共に氷柱を目指します。この辺りは1度目と対照的で面白いところですね。とはいえ1~2章はそれほど大きく話が動くこともなく、印象にもあんまり残っていません。

新しい人物スズナについては、ドラマCDで補足があるようなのですが、こちらを確認できておらず…ここが非常に残念です。ざっくりあらすじのようなものは知っているのですが、何らかの話でゲーム内でも補足があると嬉しいです。

また、ゲーム的にはフィーバー時のスフィア配置が異なっているのが面白いところでした。スズナ周りでも大きく役割を果たしている上、ランキングや降臨でもこれは見分けの基準になるので助かっています。ただ、肝心のスズナの能力や目的が分かりにくいという部分はあるのですが…

  • 1度目の消滅:星形の配置、回復も多い
  • 失われし世界:フィーバーに回復なし、上部に十字の配置、時間制限
  • 2度目の消滅:二重らせん状の配置

天上の世界以降はちょっと曖昧です。クエストによって違ったような…どうだったかな…

ノスタルジア降臨(☆8降臨)ーキキョウの覚悟

満を持して実装されたエンドコンテンツ、☆8降臨。高難易度マルチと言うことで消滅都市2の機能の目玉を最大に活かしたものだったかと思います。これはその後実装された☆9のトランス組もそうなのですが、ちょっと編成を組むのが難しいですね。いわゆる「人権」キャラが居ないとルームに入りにくいなど…こういったゲームの常と言えば常ですが。とはいえ、緊張感のある難易度で非常に楽しいコンテンツです。完成させるほど周回はしていませんが…

さて、ストーリー的には、3章に入るぐらいまでに一通り読んでおけるといいのかな、と言った内容です。ほとんどこっちもサイドストーリー枠ですね…ピグマリオンと同じく、新規キャラクターであるキキョウの事情がかなり良く分かるので重要だと思います。

キキョウは無数の犠牲を出しながらも、ソウマと共にやり直しのために氷柱への接近やタイヨウの招来を目指します。(すっかり「強い力」の概念になってしまったタイヨウさん)その動機は失われし世界のソウマと同じく、今犠牲が出てもやり直しさえすれば全部チャラ、というものです。となると、途中で止めるわけにはいかず…

しかし、失われし世界の時もそうですが、やり直し以外に元の世界を取り戻す、あるいは何らかのハッピーエンドを迎えることは出来るのでしょうか?この段階だとキキョウやソウマを応援せざるを得ない気がします。

3章ー観測者は敵か味方か

記憶を失ったタクヤの正体、敵対するチーフとスズナの正体が分かり、一気に話が動き始める3章。何といっても14-3は衝撃的でした。ここまででもわかる通り、多分私は消滅都市にこの類のメタ的な演出を期待していたのだと思います。

さて14-3は、観測者がバイクの運転手の意志を無視して妨害することでストーリーが進むというギミックです。これを受けて、運転手、というかソウマですね、彼は「なぜかバイクがスフィアを避けていく」と表現します。身体を操られている、と言うよりは、意思の通りに動いているのに上手く行かないという感じでしょうか。自由意志は錯覚であり、結局のところ全部観測者やシナリオライターの思い通りに動いているだけ。それを彼らは「自分の意志で動いている」としか認識出来ないのです。サトルは自由意志に対する決定論について言及しますが、別にこれについてはどうとでもなるっぽいですね。しかし、「最後に勝つのは意志の力だ」と何度も言ってきたのに、その意志すら本当に何かを変化させているのか分かりません。

観測者は、ここで明確にバイクの運転手と敵対します。タクヤではなくバイクを通じて観測を続けてきた私たちプレイヤーですが、彼を救うことはありません。一応トゥルーではないルートでは彼を救い、完璧な幸福を手に入れ、物語を閉じる事が出来ますが…

なぜ彼と敵対したのか、この時点ではよく分かりませんでした。普通にプレイしている分にはなんというか…焦っているソウマのセリフとかが面白かったし、「続きを読みたい」のでそのルートを選んだわけです。

連絡船に希望を託して

追いすがってくるキキョウを倒し、ソウマと決着を付けるために再びWorldAへ。そして…バッドエンドです。通称が「蛆虫エンド」。ギミック上もう一度読みなおせないのが非常に惜しいです。悲しくも美しいあのスチル、好きなんですよね…

これを見て思ったのは、なんてことを…という感情でした。そして、それだけこの物語に感情移入しているのだということに気づきました。ここに到達するにはゲームを始めてもう3年以上経った頃だったので、思い出補正的なものは否めないとは思います。ここまで追ってきて、こんな結末とはひどい、というような。そして、「観測者」としての務めを果たそうと思います。謎を解き、行くべきところを探し、大事なメッセージを届ける。ここのギミックも非常に印象的でした。「開発用:トラップチェック」の時もそうなんですけど、UIの使えるところ全部使う、的な演出楽しいんですよね…頑張って探して、「そこ」にあったのを理解した時の感動ったらないです。

そしてちゃんとソウマの想いを届けて世界はどうにかなりましたが、物語は終わりません。ソウマの救われる世界を探すため、「連絡船」で天上の世界に殴り込みます。まさか連絡船がそのデザインかあ…とはなりました。消滅都市内からはそれぞれ適当な形に見えていたのでしょうが…観測者がアレに見えているところを見ると、こちらもやっぱり「運営」の影を意識せざるを得ないところはありました。でもこれからに期待ができるのでOKです。と言うのが、クリア時の感想。

the other side of love

「消滅都市2」にアップデートされた時のサブタイトルです。最初は愛の反対側、裏側…例えば憎しみや嫉妬などを表すのだと思っていましたが、最終話をクリアした時の解釈では「もう一つの愛の形」だったのかな、と思います。ずっとみんなで一緒に暮らす、という形の夢を見ていたソウマが、姉の幸せのために自分を犠牲にするという覚悟をすることを指しているのかと。一緒に居るのではなく、別の形で愛を示す、という具合に。そばで守り続けるアキラとは対照的っちゃ対照的だと思います。チュートリアルでも流れていた"Our Lost Future"の歌詞を見ているとそんな感じがします。これについてはソウマなのか赤ユキなのか決めかねますが…その両方だったりするのでしょう。

「消滅都市」のサブタイトル、everything in its right placeについては正直良く分かってないです。世界線移動をして他人の居場所を奪う人々の事への批判のようでもありますし…いずれ収まるべきところに収まる、と言った意味のようにも思えます。

天上の世界 stop crying your heart out

女神の存在証明、消えゆく記憶と目覚めのまどろみ

レイド実装と一緒に少しずつ実装されたストーリーは、ガチャで登場していたのみであったキャラクターの補足が少し、といったところでした。今もメインストーリーに直接は組み込まれていませんが、一応ここで。

再び幸せな夢を見せようとしてくるメシエと、そちら側の陣営の人物の紹介について。天上の世界はイデア界といった概念的なところではなく…ちょっと上の方にある世界、ぐらいの感じです。地上に存在しないものが行く場所、ぐらいの意味合いでしょうか。一応物理的に上下っぽいですが。(クレバスから落ちる描写など)

「消えゆく記憶と目覚めのまどろみ」は消滅都市2にアップデートしたことの周年で秋ごろに実装されたと思います。イデア界(=天上の世界)からWorldAに降ろされたころのウチュウについてのランキング。個人的にこれでびっくりしたのが、タイヨウの「前の妻」が居た事(ツキさん以外に居たんだ…)、そしてタイヨウが結構まともな人間だったことです。辛いことがあって狂ったタイプじゃないか…と少し失望してしまったところがあります。

さて、序章である「女神の存在証明」ですが、このランキングと同時期に天上の世界から降ろされ、しかし優秀な被検体になれなかったメシエの話。この辺りで、なんとなくメシエのやりたいことが分かってきたような、来ないような。結局、「幸せな夢を優先した方が良い」、というテーマの中心人物ってことぐらいで。内容としてはその衝突ぐらいでしょうか…ユキとタクヤは一度ここで敗北し、天上の消滅都市のなかでしばらく足止めを食らうことになります。

1章~2章ータロットとそれぞれの想い

レイドの属性が一周するまでとりあえず実装された後、「消滅都市0.」にアップデートされ、「天上の世界」のメインストーリーが始まりました。システム的に大きな変化があったわけではないので、リニューアルぐらいの感覚だったような気がします。

タイトルの0.は、"0. Fool"のことで、つまりタロットの愚者を受け取っていたカノのことだったようです。バイクの運転手がカノになり、ソウマがその後ろに乗って、固定パーティで天上の世界を爆走します。パーティが固定なので純粋なプレイスキルが問われます。これもこれで楽しいですが…ギリギリのとこも多く難しかったです。

ここにきて、「タロット」がクローズアップされます。3.5章のところ(瞬く日々の終わりを)で初登場したタロットとその所持者ですが、しばらくはただガチャで実装されたり、ランキングで少し補足がある程度でした。それがレイドで何人か説明が始まり、ここでとうとうその機能が明かされます。

タロットの機能ですが、

  • カードに応じた能力を得たり、生身の身体のままタマシイ化して攻撃などが出来る
  • 能力発動に何らかの代償がある。能力を使うたびか、常に何らかの苦痛などを受けるかは、タロット次第
  • タロットの力に呑まれる?か何かすると、人格や個性を失って、「イデア化」することがある。ストーリー中だとタイガが「正義」を執行するだけの存在になるところだった。
  • タロット所持者はタロットゲームと言うバトルロイヤルに参加でき、勝ち残るとなんでも願いを叶えられる。

天上の世界で明かされたのは主に後者の二つで、それ以外はランキングクエストなどで少しずつ分かります。タロットは22枚で、「消滅都市」ではマルセイユ版準拠で番号が振られています。細かい解釈とかは他にも色々解説があるのでここでは特に触れませんし、私もそこまで気にして読んでは居なかったです。しかしこういう部分は今までのクエストに情報が散らかっているので、まとめるのは中々大変です…ただ、そういう部分が楽しかったりもします。

ということで、天上の世界での目的は、夢を見ているユキとタクヤの救出、そして天上で色々企んでいる「所長」やベオを倒し、タロットゲームに勝利して幸せな暮らしを取り戻す、という具合です。やっぱり1度目の消滅等に比べると情報が増えて話がややこしくなっています。

3章ーイデアからの解放

3章は中々の長さです。ユキとタクヤ側の視点と切り替えつつ、夢の内側と外側の両方から突破を目指します。まずレイド組との対決。私はキズナちゃんが好きです。レイド組は基本的に、メシエと同じく夢を見せることを肯定する側ですが、彼女の考えは非常に好きです。別に成長を目指さなくても、そのままでもいい、停滞を受け入れても良いという考え方。なるほど、人によっては堕落の「悪魔」に見えるわけです。「ハッピーエンド」を見た後、すぐ周回に走りました。ホーム画面に設置して話を聞いています。なんでも肯定してくれるキズナちゃん。(例の画像)

しかし、失われし世界と同様に、全員夢を捨てて現実に進むことを選びます。そうしないと話が進まないと言えばそうなのですが…なんにせよ、決断は決断です。

レイド組のトリは「無貌に至りし者」ゲームマスター。やった!ナイアーラトテップだ!というのが正しいかはともかくとして、以前名乗った「不条理のイデア」(以前は概念と表現しましたが)へ到達したそうです。非常にめでたい…とはいえ、打倒方法としてまたハヅキをぶつけたのでそういうとこだぞと言えばそういうところです。でも引き下がるのも早くて好感度が高いです。完全な悪役ではなく、どこまでもトリックスターとしての役割を確保し続けているところを見ると、メインストーリー中でもっとも役割がぶれていない人物だと思います。かなり好きです。(ちなみに一番好きなキャラクターはホシだったりします)

そしてタイヨウをなんとか…こう…いい感じに封印して、ベオ戦。この時少し肩透かしを食らいました。タイヨウもなんだかんだで出てくるものだと思っていましたが、全く画面に映らないまま退場してしまったような感じがしたからです。勿論後程出てくるわけですが。ちょっと尺を短くして節約した感を感じてしまいました。

そして18話、ベオとの直接対決。今まではタロットを渡していたり、ウチュウと一緒に深夜ラジオ(浪漫シリーズ実装前の数日、深夜の僅かな時間だけ特殊シナリオが見れました)をやっていたり、メシエたちと同じ上位観測者としてこっちを馬鹿にしてきたりと忙しいキャラクターでしたが、ようやく対決になりました。とはいえ、何もかもおちょくるような発言を重ねるので…失われし世界のナレーターの問いかけと同じく好き嫌いが分かれるのではないでしょうか。

実装当日、さっそく飛び込んでクリアしてきましたが、残念ながら勝つには至りませんでした。なんだよ、ランキング形式でチートしているベオに勝つスコアを出すって…しかし、上位観測者=観測者(プレイヤー)と同じ枠組みで戦うことが出来る、と言うのは面白かったです。当初は「運営」に通報してBANしてもらう、というのが解ではないかと言われていたのも熱かったです。(実際には解法は異なりました)

ベオを打倒し、カノが晴れてタロットゲームの勝者となりました。そして、叶えた願いは…

上位観測者って?

結局なんだったのでしょう。前編で書いていたものを引っ張ってくると

  • 物語の人物=ユキやタクヤ、ほとんどの登場人物
  • 上位観測者=メシエ、ウチュウ、ベオ(イデア界=天上の世界の人物)

ーーーガラス(フォースウォール、フィクションと現実の壁)ーーー

  • 観測者=プレイヤー、「消滅都市」の外側、現実世界

上位観測者は、結局フィクション内の人物です。しかし、外部の存在であるプレイヤー、観測者と同列に、ランキングにスコアを載せることが出来ます。これはベオ自身の能力(あるいは世界のタロットの力)かもしれませんが、ここでお互いの立ち位置が曖昧になってしまったような気がします。

ベオは私たちの代わりに、ストーリーを続けてくれると言い、それを望む観測者たちがこんなひどい話にしているんだ、これで満足?と言うような問いかけを続けます。こうしてみると失われし世界でのナレーターの役割に大分近いですが、上位観測者の誰か(青い影で表現されていましたが)の中にベオが居た、と見るのが良いのでしょう。つくづく気に入らない奴です。

タマシイになるということ

カノは願いを叶え、「想い」を感じられない私の代わりにソウマが生きるべきだ、として彼を救います。それを「愚者」だとソウマは言いますが…カノは結局、定義通りのサイコパスだったのだと思います。共感性が生まれつき欠如しているけれども、善良。

2度目の消滅では、1度目の消滅の世界とは違い、タマシイがかなり生き生きと暮らしています。「百花繚乱」のミライや「サイバーアーティスト」のミイコなどは、普通の人間と同じように作品を発表し、評価されています。

一方で1度目の消滅のタマシイは、基本的には自我も曖昧な地縛霊のようなものです。生前の想いを引きずり、成長はありません。こうやって見ると、2度目の消滅の世界におけるタマシイは、肉体の制限を受けない(物理干渉も出来そうですが)以上、人間よりも完璧な存在に見えます。これにはノゾムもにっこりです。さっさと全人類をタマシイ化しましょう。

と、言うわけではない、と言うのをはっきり示したのがここのカノの話でした。誰でもタマシイになれるわけではなく、「想い」が強い人間だけ。そんな強い想いを皆が抱いたことがあるかというと…きっとそうではないでしょう。じゃあ、そんな想いを抱けない人は、「想いの力」で進んでいくこの物語には関与できないのか?

カノはこれを問題提起し、彼女は彼女で答えを見つけて去っていきます。しかし、全体としてこれについての回答はここまでではありませんでした。多分今実装されているサイドストーリー「Unreasonable」の方だと思うんですけど…まだ読めてないです。これもその内読みます。

stop crying your heart out

こちらのサブタイトルについて。これも解釈がまとまりませんが、今思うとカノのセリフに見える気がします。心が叫びたがっているんだ、ではないですが…もう叫ぶ必要はない、とソウマの心を慰めているようであり、同時に想いを叫ぶ多くの人に対し、「黙っていてくれ」と思っていた、といったところでしょうか。

epilogue

太陽系第三惑星の片隅に咲く花ーガラスの向こうへ行った人

エピローグの細かい内容は特にまとめませんが、いくつかこの辺りで気になった話を。

まず、「太陽系第三惑星の片隅に咲く花」、これは天上の世界の間の出来事ですし、実装もエピローグより前です。ロスト・ゼロと一体化したリサについて。正直それがどんな状態なのかは良く分からないのですが、ここでとんでもない事が分かってひっくり返りました。リサには、「観測者」が付いている…

正確には、私たちの現実によく似た世界の存在が示され、そこにいた「りさ」という少女が、消滅都市内のリサを夢に見ていたようです。「りさ」は夢の中でリサとして楽しく過ごし、一方のリサは別の自我を持っています。でも、観測をしている間はずっと一致しており、リサは全て自分の判断で動いていると考えています。「りさ」が去った時、初めてリサは「見守っていた誰かが居なくなった」というような表現をしますが、決して操られていたわけではないようです。憑依とも違うのですが、2度目の消滅の14-3のソウマの表現と同様に、観測者の決定と自分の決定は、消滅都市内からは見分けがつかないようです。

この事実への言及は、本当に驚きました。同時に、ちょっとリサが好きになりました。でもやっぱり5章は良く分からなかったな…

CounterPointーこれは私の物語ではない

そしてエピローグが始まった直後、「ソラ」が現れます。誰?クリア後調べてAFTERLOSTの語り手だと知りました。スピンオフアプリの方ですね。最初少し触ったっきりで進めていませんでした。単にゲーム性が合わなかったというのが大きいです。

突然明かされる色々な接続。ここにきて、番外のコンテンツに私が触れられていないことに少しがっくり来ました。コンサートが天上の世界の開幕に繋がること、ドラマCDがかなり大事な情報をもっていること…全部包含して「消滅都市」だと言われると、それはそうですし実際熱いのですが…どれも触れていないため、少し蚊帳の外、といったところでした。

しかし、問題はその後です。ソラとタクヤと「作家」のシーン。これがAFTERLOST側で語られていたのかは分かりません。(AFTERLOSTはその後進めたのですが、5章に入る前で止まっています)そして、告げられる「コスト」の話。

長々とここまで書いてきて、そして長い間楽しんでこれたのですが…私自身は、恥ずかしながら、一度も課金をしていないのです。ガチャやプレミアムパスは見返りが確かではない部分もあり(熱心に周回したりランキングの上位を目指したりしていませんでした)、ビジュアルブックやCDといったグッズの方を中心にしていました。それは、ある種の言い訳でもあったのですが…ここでそれを告げられて、気づきました。これは、私の物語ではないのだと。単なるフリーライダーでしかないことを突き付けられ、同時に「観測者」としての役割もソラや「りさ」に取られてしまったような気がしたのです。思い込みが激しい、と言われればそれまでです。

ただ続きだけを、それも強く望むのではなく、あるなら続きを読む、ぐらいの態度であったことは良くなかったのでしょうか。この辺りは良く分かりません。色々な演出意図はあるのだと思いますが、これはかなりショックでした。

イデア界はどこにあったのか

もう一度、メタ構造についてまとめます。

  • 物語の人物=ユキやタクヤ、ほとんどの登場人物
  • 上位観測者=メシエ、ウチュウ、ベオ(イデア界=天上の世界の人物)

ーーー「消滅都市」とAFTERLOSTの世界の壁ーーー

  • 「消滅の無い世界の人物」=りさ、ソラ

ーーーガラス(フォースウォール、フィクションと現実の壁)ーーー

  • 観測者=プレイヤー、「消滅都市」の外側、現実世界

「消滅都市」の世界は、どの並行宇宙でも、全て「消滅」が起きており、ロストが生じています。(一応浪漫世界や大航海時代や幻想世界のような…ある種のパロディじみた世界も存在し、多分そっちでは消滅は起きていませんが、今は置いておきます。)

しかし、AFTERLOSTではソラが観測者です。プレイヤーのポジションにいます。一緒に物語を追体験し、プレイヤーからは離れて「消滅都市」の物語に巻き込まれていきます。その時、「消滅都市」の外側であるソラやりさの世界はどんな世界かと言うと、「消滅がおきておらず」「”大地震”があった」世界です。

この時点で、私はその世界をガラスの手前と向こうのどちらに置くべきか迷いました。実際には、どこまで行ってもフィクションなのでガラスの向こうです。ガラスの代わりに「夢」という構造が挟まって二重になっているだけです。でも、観測者が弾き飛ばされて、ずっとソラがタクヤやユキと一緒に旅をしていたのでは、というように読めました。(実際にはまだ観測者は力を持っています。最終的にソラはガラスの手前であるこちら側に助けを求めます。)

とはいえ、この世界にはもう一つ気になることがあります。明確に震災のことに言及したことです。AFTERLOSTのCounterPointでは何度か示され、同一視せざるを得ません。先ほどの観測者の立ち位置の混同問題もあり、「この世界」だと錯覚してしまいます。

「消滅」は明らかに震災がモチーフです。1度目の消滅の”3年前”にロストが生じていますが、消滅都市のリリース日は2014年5月26日です。一方で、ビジュアルファンブック内でのインタビューでは、消滅は「災害」ではないということ、物語を受け取ってほしい人に届ける為、美しさを意識しているということが言われています。

ということは、消滅と震災の同一視は、ある種のタブーではないのか。それなのに、AFTERLOSTでは、あるいはエピローグではそのタブーに触れています。それとも、そんなタブーなどなかったのでしょうか。私の考えすぎ、あるいはうがった見方をしているだけ、という方が可能性が高いでしょう。

現実との混同、観測者の立ち位置、物語を対価を払わずに受け取ってしまったことの罪悪感。そういうものが混ざり、エピローグ1話はどう受け取っていいか分かりませんでした。

氷面に心を映してー因果と罪の精算、物語の終わり

その後、いくつかの問題を解決し、最後にはみんな幸せをつかみます。

しかし、エンディングを迎えた時の感想は、「不安」でした。落ち着かないのです。つかみ取った幸せは、あまりにも「幸せな夢」に似ていました。失われし世界で破り捨て、天上の世界で抜け出し、そして2度目の消滅の14-3、あり得なかったハッピーエンドに。なので、これで本当にいいのか?全てちゃんと終わったのか?あまりに出来すぎていないか?幻術か?(幻術なのか?)になってしまいました。ちゃんと彼らと別れられていない、ということでしょうか…

しかし、別にまた続きが見たいからどうにかなれ、と言うわけではありません。ベオたち上位観測者に何度も言われましたが、物語を見たいから不幸にしていた、という実感は、少なくとも私にはありませんでした。その傲慢な認識こそが観測者の罪である、と言われたら反論は出来ませんが。

事実、サービスは今も継続していますし、なんなら幸せになった彼らのその後の姿も描かれています。その中で一つ嬉しかったのは、「氷面に心を映して」のランキング開催でした。

2度目の消滅の終盤、そして天上の世界でタマシイとして使役されるキキョウは、ほとんど廃人化していました。実のところ、正気に戻らない方が彼女にとっては幸せでしょう。

しかし、このランキングで、エンディングを迎えたあとのソウマ達がキキョウに正面から向き合います。そこでキキョウが、安易な救済を拒んだことが個人的にはすごく嬉しかったです。今までのストーリーの感じだと、すぐに説得されて前を向くんじゃないかと思っていたので。結局なんやかんやあって、無数の犠牲と取り戻せない過去への贖罪に、別の道を見出します。それはそれで問題は色々ありそうではありますが、一度抵抗した、と言うことが嬉しかったのです。これが何故かは、正直自分でも分からないのですが…

とにかく、こうしてほとんどの因果は解決し、メインストーリーは遠回りながら大団円を迎えました。結末を迎えてすぐの感想としては、「6年間お疲れ様です、そしてありがとうございました。」の一文に尽きます。

全体の感想

観測者について
消滅都市を象徴するような単語です。1度目の消滅から何度も言及され、プレイヤーとして自称したこともあります。エピローグ前後でソラやりさの乱入で分からなくなったところも、それでも物語の外部から、彼らの生を確定するために見つめ続けたこと、それは確かです。そして、一緒に観測ができて良かったです。
たくさんの呪いとイデアについて
失われし世界以降、様々な呪いを受けました。なかなか解けないものもありますが、「物語」の受け止め方の一つとして、色々な考え方を知ることができて良かったです。メタフィクションに手を出すきっかけの一つでもありました。
イデア論自体はよく分からないですが、不条理のイデアに至ったゲームマスターやタイヨウの掛けた呪いについては失われし世界のところで述べた通りです。これもまた新しい概念でした。しかしウチュウのランキングやエピローグ近辺の描写など…タイヨウは少し普通の人間によって行ってしまったのが個人的には残念です。「舞台装置」では決して無かったと言うことなのでしょうが。
撃たれなかった銃
エピローグ内でチェーホフの銃への言及がありましたが、伏線を全て回収しているかと言うとそうではないとは思います。概ね解決はしましたが…肝心のタクヤの心情や背景などは結構曖昧なままです。探偵組織と謎の組織の関係など、最低限分かっていれば物語は追えるのですが、少し物足りない部分はありました。どちらかと言えば、サイドストーリーのホシや、焦点を当てたエピソードのあるレイド組などの方が、解像度は高くなっているような気がします。タマシイとしてのタクヤは基本的に実装されていないですし…
ただ、撃たれなかった銃については、物語の余白を作ってあると言うことでもあるかなと思います。スタッフ本などを見ていると、イベントシナリオは重要なもの以外は分担して作っていたりする様子もありますし、「楽しいもの」をどんどんと積み増していく形式で作られているのではないかと思います。最初から綿密に組まれている世界だけでなく、こういった形式で広がる世界も好きではあります。
こうしてストーリーを全部見返した時の一貫性についてはその点で少し不安定な気がします。伏線というよりは、要素の上手い付加という点も多いのではないでしょうか。(もし最初から全部組んであったのなら、すみません…)
ソーシャルゲームとしての体験
「消滅都市2」にアップデートして少ししてからメインストーリーに追いつきました。そこからの重要なストーリーはリアルタイムで追えたので、非常に楽しかったです。また、天上の世界のベオ戦ランキングも、情報共有しながら攻略していくのが楽しかったです。
メタフィクションを扱うものでありながら、同時にソーシャルゲームである、という特性が生かされていて、やはりここが唯一無二の体験を生んでいたのではないかと思います。
ただ、エピローグでのコストへの言及や、週刊漫画のような連載形式とプレイヤーの望みについてなど、飲み込み難い話題もありました。これも消滅都市でしかできないと言えばできないので…切り離せないものではあります。
今までの挨拶とこれからの世界
つらつらと書いてこんなに長くなってしまいましたが、大体考えてきたことは吐き出せたような気がします。
何もかもが理想的、とは言えませんが、やっぱりデザイン・演出・BGM・アクションと、様々な要素が私の好みに合っていて、非常に楽しかったです。
忘れられない体験と、忘れられない概念を多く受け取りました。特にそれを開発側に還元することもなかった事から、私自身はあまり良い観測者ではなかったのかもしれません。こうして、ともすれば上から目線のように見えるような文章をまとめることも、あまり良いことではないのかもしれません。
それでも私はこの物語が好きでしたし、この物語を観測できて良かったです。どこに届くとも思えませんが、それでもこうして綴らざるを得ませんでした。
ありがとう、そして、またね。
 
 
 
とは言いつつも、まだクリアしていないクエストや周回していない降臨がたくさんあるのでお別れはまだまだ先です。気が向いた時にぼちぼち進めます。
ここまで読んでくださった方、いらっしゃいましたら、ありがとうございます。観測者の方はぜひ観測を楽しみましょう。(居ないとは思いますが)観測者ではない方は、ぜひ観測を始めましょう。多分追いつくのにはそんなにかからないような気がします。分かりませんが。
 

 参考・引用元

この文章を書いたり、プレイしながら参考にしたものです。同時期にプレイしたゲームや読んだ小説、見た映画など色々言及したいことはありますが、とりあえず今はこれだけで。

消滅都市 

公式ウェブサイト。epilogue実装時の特設サイトであらすじが書いてあります。

消滅都市 - Wikipedia

Wikipediaを貼るのはどうなんだという感じかもしれませんが、各種参考文献のリンクがまとまっているためここに貼っておきます。全てを追えていないため見落としがありそうだ、という思いはあるのですが、今分かっている部分だけで今回は書いています。

ストーリー考察【ネタバレ】 - 都市0.wiki | Gamerch

wiki上の考察まとめ。小ネタを読んだりまとめたりでお世話になりました。まとまっているのが1度目の消滅までなのが残念。(それが今回こうして書こうとしたきっかけでもあります。)

未来の既在と宿命――テッド・チャン「商人と錬金術師の門」(『息吹』、大森望訳、早川書房、2019年)の感想|山口尚|note

上記の考察まとめの中で、イソヤレポートで引用されているとして言及されている短編について。私自身は同作者の「あなたの人生の物語」(「メッセージ」という題で映画化されています)の方しか読んでいないのですが、「過去も未来も変えることは出来ないが、それは決して絶望ではない」という考え方については近い物があると思います。

第4章のタクヤの精神のみの時間移動は、この辺りがベースになっているのではないかと。(もちろんギミックとしてはシュタインズ・ゲートとの類似性もありますが、直接引用されているという点でこちらに言及しておきます。)

イッツ・オンリー・ア・ペーパームーンIt’s Only A Paper Moon – マジックトレイン・ブログ

失われし世界で何度も言及される”Paper Moon”の元ネタ。フォースウォール、第四の壁は演劇用語なので、舞台装置的な意味合いもあると思いますが、直接の引用元はこの曲だったかと思います。(失われし世界あたりはリアルタイムで追えていないため、具体的なソースは分からないです。)

ローマの休日 :: ストーリー

はい。観ていません。観ないといけないのは分かっているのですが…なのでとりあえずあらすじを貼っておきます。

失われし世界で何度か言及される「古い映画」の元ネタ。王女と新聞記者、最後は記者会見のシーンといった辺りでこれだろうとされています。日常を抜け出して二人で旅をする印象はここからなのでしょうか。

事象の地平面 - Wikipedia

これいる?と思ったけど一応可能な限り網羅するということで。2度目の消滅の最後など、世界線移動時の戦闘は「静止限界」→「エルゴ領域」→「事象の地平面」と進んでいきます。元ネタはリンクにある通りブラックホール近傍の領域です。静止限界は光速でギリギリ止まっていられる境界線、事象の地平面は光速で脱出できないため、その内側が観測できなくなる境界(ブラックホールの内側のようなもの)、エルゴ領域はその間の光速では静止できないが、脱出は可能な領域になります。攻撃の「引きずり効果」などもそこからだと思われます。(専門ではないので間違いは許してください)

ただ、モチーフにしているだけで、ブラックホールとほかの世界の表現が直接つながっているとは思いません。参考までに。

イデア - Wikipedia

結局Wikipediaからは逃れられない…メシエの登場辺りから頻繁に言及されるイデアについて。「洞窟の比喩」とかもこれを説明するものだけれども良く分からない。とにかく、モチーフになっているのは言うまでもなくプラトンイデア論で、読んだら分かるのかな…と思いつつ、どうせ元の意味からは大きく離れているからいいか、となってしまっても居ます。

「消滅都市」と物語の終わりについて【前編】

 ブログを作ろうと思ったきっかけの一つ。もうじき7周年になるこのゲームですが、どうも印象が安定しません。私自身単純にゲームとして長く楽しませてもらったのですが、考えることは非常に多かったです。ということで、雑多に今まで考えたことを整理しようと思います。考察…というよりは感想に近いですが何とも言えません。自分のための内容まとめ、と言う方が近そうです。そしてすさまじい長さになってしまったのでお暇な方はどうぞ。

最初にお断りしておくと、ストーリーのネタバレばかりです。また、全てのコンテンツを網羅しているわけではないので、間違っている部分も多くあると思います。具体的には、コンサートやドラマCD、AFTERLOSTのCounterPointなどが未履修です。また、アニメも途中までしか見れていません。(CounterPointは途中までは進めています。)

 

 

プレイ開始時期

初めて消滅都市をプレイしたのは、確か2015年の春だと思います。最初のにゃんこ大戦争コラボがあり、ガチャがめちゃくちゃ渋かった頃です。何かソーシャルゲームでもやってみようと思って探していたところ、ゲーム性が飽きなさそうなのとSFチックなところに惹かれてインストールしました。

 

ただ、この時は端末のスペックの問題で、すぐにプレイできなくなってしまいました。この時は第三章をクリアするかしないか、といったところだったと思います。

それから一年ほど経って、友人がプレイしているのを切っ掛けに復帰しました。入手順で調べると、チュートリアルガチャは「ギャンブレスト ユリ」を引いていたようです。操作に慣れるまではバリアボールにお世話になりました。

初期は「ランクアップクエスト」や「地下鉄からの脱出」といった、謎解きを含むサイドストーリーを楽しんでいました。結局のところ、こういったギミックが好きだったのもあって、長く続いていた部分があるように思います。

常に最新を走っていたかというとそうでもなく、モチベの高い時期は熱心にプレイしていましたが、大体は思い出してふと一気にプレイする、と言った感じでした。そのため、周回すべきクエストを周回していない部分も多くあります。メインストーリーに追いついたのは、「消滅都市2」へのアップデートがあってから少し経ってからの事だったと思います。

 

では、それぞれの章と感想について。

1度目の消滅 Everything in its right place

1~3章ーバイクに乗ってどこまでも

運び屋の男・タクヤは依頼を受けて、ロストから唯一生還した少女・ユキを再びロストに送り届けることになる。というのがおおよそのあらすじ。チュートリアルも兼ねるのであまり話の進みは速くありません。

ロストとは”3年前”に消滅が起こった場所で、クエスト選択画面の背景などから、想定されている位置はおそらくお台場の辺り、東京湾上と思われます。タイトル画面なんかを見ていると都市のど真ん中っぽいのですが…そのあたりはこの世界とは違うということで。アンロスト・パレードやSPR5、アニメの描写だとやっぱり湾岸地帯の描写が多いので場合によりけり。

基本的には目的地に向けて旅をする、というのが、このゲームのストーリー全体のモチーフです。この辺りではただ物語の結末を見ておきたいな、というぐらいのモチベーションでした。実装されているなら読んでおこうという程度。ソウマについても何となく好き、という程度でした。

短編小説集である「消滅都市の片隅で」はこの時の旅が立体的に描かれていて好きです。ゲームでは表現の難しい、廃墟を少しずつ進んでいく感覚は、小説特有だと思います。

3.5章、瞬く日々の終わりをー絡まった因果

ロストに到達した後、帰路で出会った少年ホシの話。小説版消滅都市の逆輸入ということでしたが、3.5章も後味としてはあまり良い物ではありません。食い違ってしまったがために、相手を殺してしまうという流れは、クリスマス時期のイベントである「二人の世界」のスグルとサユの話も近いものがあると思います。しかしもうちょっと…もうちょっと和解に繋がるルートは無かったのかと考えてしまいます。とはいえ、ホシは死んではいないのですが…

それからしばらく経って実装された「瞬く日々の終わりを」はタロット組導入の意味もあるサイドストーリーですが、内容的にはほぼメインストーリーだと思います。不完全燃焼だった3.5章の続きとしても面白いです。大人ホシはその後も時々現れますが、メインの出番はやはり天上の世界での活躍かと思います。

全体として、小さくまとまっていますが、非常に心に残るエピソードだったかと思います。こういったサイドストーリーや、ランキングイベントが良いところを見ると、消滅都市は長編というよりは短編連作的な性質が強いと感じます。

4~5章ーガラスの向こうからの心強い想い

時間は経過し、ロストからの帰還後。4章も5章も、石灰化やら砂漠化やらで一向に状況が良くなるようには思えず、ストーリー的にもピンときません。しかし、独特の演出はこの辺りで強く表れてきます。

まずは観測者の視点を用いた時間遡行と、見たものに別の意味を付与するギミック。参考のところでも言及していますが、シュタインズ・ゲートにも似たギミックがあります。ただし、あちらは観測者は主人公であり、プレイヤーではないのでそこが異なります。

また、「ガラスに触れないで」や、”こっち”に語り掛けてくるギンガなど、はっきりとメタ描写が増えます。それほど珍しくないギミックではありますが、プレイ当時はやはりドキドキしました。今「触った」、そしてそれに向こうが「反応した」という感覚は、消滅都市とのコミュニケーションをしたと錯覚するには十分だったと思います。

ちなみに今「消滅都市 4章」で検索したサジェストに「怖い」って出てきました。怖いとは思います。その怖さは、こちら側/現実世界に干渉しているような錯覚、安全な立場では居られないのではという不安感から来るものではないでしょうか。

しかし、もっとすごい体験をさせてくれるのではないかと思い、次へ次へとストーリーを進めてしまいます。とはいえ、レプリカント軍団など戦闘面でもだんだん厳しくなってくるのでそうも言ってはいられないのですが…ちなみにコズエやクニトのHP×40倍砲が猛威を振るっていた時期にクリアしました。ありがとう清掃委員長…

ところが5章、ロスト・ゼロとリサについてはいまいちピンときませんでした。個人的に苦手なタイプのキャラクターであるというのもあるのですが、どうもぽっと出の感が否めなかったのです。もちろんタクヤとしては古い付き合いの人物なのですが…

ロスト・ゼロもまた、ロストの北部に生じた良く分からない何かであり、またそれか、という感じがあります。どうしたって世界の危機は去らないという…ある種の引き延ばしじみた感覚です。他のストーリーを見るとこの感覚はおそらく表面的な部分しか見ていないからなのですが、当初はそう思いました。

とは言え、ロスト・ゼロ戦の演出はやはり良かったです。途中からの一転攻勢、となるスフィア配置や各種バフを用いた演出など…非常に熱く、やっていて楽しかったです。こういった演出も、この辺りで確立されたのではないかと思います。失われし世界はこれをフルに活用していて、その点でも楽しいです。

観測者とは何だったのか?

さて、観測者(=プレイヤー)という呼び名や、その能力について4章で導入され、「ユキとタクヤ」ではなく「タクヤ」を我々プレイヤーが見守る物語だということがはっきり示されます。ここでプレイヤーは「消滅都市」の世界をメタ的に、外側から認識することになります。そしてそれはどこにあるかというと、「ガラスの向こう」、スマホの中です。メタを扱うゲームは、これをブラウン管の中と表現したり、単なるプログラム、と表現することもありますが、ここではスマホが媒体である必要性があります。そして、入力として「タッチ」で触れ合うということも。

観測者はユキやタクヤに願われるまま、クエストを進めて勝利に導きます。とはいえこの時間遡行については、既に用意された順にステージを選んでクリアするだけなので、そこまで能動的に行動している感覚は無いのですが…ここでは、ユキとタクヤは観測者を完全に「味方」として認識しています。そして、プレイヤーも疑うことなく彼らとともに旅をします。直接何かを示すのは時間遡行という形だけですが、これにより消滅都市側は観測者の存在を、私たちは消滅都市側とのコミュニケーションの可能性を、それぞれ確信します。

とにかく4章時点では、観測者と世界の関係はかなり良好だと思います。

少し話は逸れます。当時、メタ演出を用いたものに触れる機会が多かったため、色々探していたのですが、この物語とのコミュニケーションについては「One Shot」も類似例だと感じました。あとここにUndertaleとoffとDDLCの違いについても書きたいのですが、それは別な機会に。細かい事は省略しますが、こちらのゲームもゲーム側と共に困難を乗り越える話です。そして、ゲーム内の世界とコミュニケーションを楽しむものでもあります。

幸せなメタ演出は良いものです。勿論、対立もまた良いのですが、塩梅が難しいと思います。そして、それは失われし世界以降で顕在化してきます。

蛇足ーアニメについて

アニメは途中までしか見ていないのですが、確か3章終わりあたりまでを映像化したものだと認識しています。非常に期待していたのですが…個人的には普通だなあと思いました。こうしてまとめていて思ったのですが、多分1度目の消滅の話は、私自身がそこまで好きではない、というのがあったのかもしれません。4章以降の演出には心を惹かれましたが、結局私の中ではストーリーがメインではなかったのかもしれません。

しかし、小説と同じように、あの世界を立体的に見る事が出来るという面では良かったです。ゲームとしての演出が好きですが、アニメとしての演出もまた良い物なのでしょう。そのうち続きを見ようと思います。

1度目の消滅は、まだストーリーや人物への感情移入がしっかりとできていませんでした。とはいえやっぱりゲームは楽しく、そこが続けて遊んでいる大きな理由だったのだと思います。イベントやランキングも読んでいて楽しいので。

失われし世界

1章ー終わってしまった世界

決着をつけるためにタクヤが飛んだ先はWorldA、失われし世界。そこにいた赤い髪のユキと契約を結び、今度は「球根」に向けて旅をすることになります。球根が何なのかは良く分かりませんが、とにかく世界をこんな感じに滅ぼした要因の一つなのは確かです。(そしてこの辺りの描写については詳しいことを憶えていません。すみません…)2度目の消滅実装前の、WorldB(1度目の消滅の以前の名称)と表裏一体的なUIも好きでした。ただ、1度目の消滅をクリアしなくてもプレイできるので、そのあたりのネタバレとかのバランスは難しいな…と思います。まあ肝心なところは良く分からないのでセーフな気もします。

WorldA側との時差や、ジョニーウォーカーの話など、色々と興味深い話も多い一方で、まず…戦闘が…辛い!!!どうしても進めるには大分時間が掛かりました。時間制限の演出は怖いですが結構好きでもあります。プツン、と切れて終わってしまうのは、観測の限界ってことなんでしょうか。

また、ツキや2章のタイヨウなどの巨大戦も面白かったです。バイクであることを活かした、「追いつく」戦闘。パーティ編成に特殊な工夫が必要ですごく楽しい演出でした。ちなみに私は免許皆伝は受けていません。EX硬い!!!と言った記憶はあります。

Green Lightと共にリサーチャーたちの通信を受けながら進める戦闘。これも非常に熱い演出です。1度目の消滅の5章の演出からさらに強化された感じです。戦闘の邪魔をせずにリアルタイムで通信を受けながら進んでいく感じは…確かにクエスト読み直し機能を単体で実装させるには難しい、と納得するに足るものかと思います。

2章ーここから始まる物語?

とはいえ、もうとっくに滅んで、生きている人間はごくわずかな世界。球根に到達してどうにかなるのか?というと多分ならない。ソウマは球根の力を使って全てやり直すつもりだった(し、その後も一貫してそれで動いている)のですが、ユキやタクヤが何を求めているかについては正直良く分からないです。読みなおせば分かるのかもしれませんがなんせ難易度が…

ここで現れる勢力はいくつかありますが、みんなバラバラな理由で活動しています。

まずサトル。どっちかと言うとやり直し派でしょうか。この世界のハヅキを取り戻すためにタイヨウを招来し、その力を自分のために使おうとします。しかしそれは呼び出されたタイヨウ自体に返り討ちに遭い、一端舞台から退場します。

次にタイヨウ。こちらは上位の世界に手を掛けようとしているようです。とにかく自分を強くしたい、人間を超えたい、というのがここまでの一貫した目標であり、「大体こいつのせい」枠です。ここで示される「上位の世界」が実に曖昧です。プログラムを書き換えたと言うため、「ガラスのこちら側」(=現実世界)なのか、運営が書いているコードレベルの位置なのか(プログラム、という点でまだ「消滅都市」の内側だが、ユキやタクヤの見る世界よりは上)、はたまたウチュウを引きずり下ろしてきた「イデア界」なのか…とはいえ、大した力ではないので変なギミックを使うこともなく、編成次第で殴り倒せます。かなしいなあ…

次はメシエですが、一応ゲームマスターもここに置きます。メシエは「幸せな夢」の中にユキとタクヤを閉じ込めようとしてきます。この辺りも記憶が曖昧なのですが…基本的にはウチュウの補助をしつつ、彼らにも幸せになってほしいという思いやりなのだとは思います。ところがゲームマスターはそんなことを気にしないので、面白半分に二人にゲームを持ち掛けます。個人的には、ゲームマスターとサトルの関係を示された時の反応が非常に好きです。もう過去はどうでもいいのだと言い切ってしまう狂気が好きでしたね…

最後、大人になったソウマ。WorldBで救われなかった彼が世界線移動しながら選んだ結論として、球根の力を使って全部やり直すという目的を果たすためにこの世界で暗躍します。ところで明示されてはいなかったと思いますが、多分ソウマ・レプリカントと大人ソウマのデザインモチーフはアオミノウミウシなんでしょうか。生物モチーフとは言われていたと思いますが…話が逸れました。とにかくソウマはこの世界がどうなろうと知ったこっちゃないのでこの世界のユキもとりあえず殺しています。(これが原因で何人か敵に回していますが)それでも、全部やり直せば帳消しです。それはそれでいい考え方だと思います。

なんにせよ、敵対した全員を退け、9-3にてとうとう球根内部に突入します。そこでウチュウや守護者とやり合って…最後にはそれでもこれからの現実で、青ユキと一緒にタクヤは生きていく決心をし、赤ユキもそれを後押しします。やっぱりPhases好きですね…クリアは滅茶苦茶時間かかったので許してません。今はトランスアキラとかで色々できるっぽいのでもう少し楽そうですね。

幸せな夢との決別

メシエは、「幸せな夢」の中で暮らすことを提案してきます。というか強引にその中に押し込んできます。それを跳ねのけ、それでも生きていくと言い続ける、というモチーフは、この辺りが初出かなと思います。降臨やイベントストーリー等を含むともう少しありそうな気はします。

しかし、ここで読んでいて良く分からなくなりました。「物語」とはなんなのか?この話を読んでいる私の事さえ、メシエたち上位観測者は馬鹿にしているように感じられました。少し強烈な表現さえ使って、読者の喜びのために登場人物を犠牲にしているのだと観測者を批判します。

ここが「消滅都市」の好き嫌いが大きく分かれる部分だと思います。私は確かに受け入れられない部分も多くあったのですが、それでも衝撃を受けて、今でも色々なものを読むときに思い浮かべることがあります。なので、この表現が嫌いだと、はっきり切り捨てることは出来ません。4章の時と同じく、やはりここでまた引き戻されたのだと思います。この頃は他のゲームをやっていたり、他のクエストを回っていたりしていたのですが、失われし世界を進めていく中で、もっと色々な話を聞きたいと思うようになりました。誰に?もちろん、「上位観測者」たちです。

この時点では、上位観測者=運営のようなものだと思っていました。

  • 物語の人物=ユキやタクヤ、ほとんどの登場人物
  • 上位観測者=メシエ、ウチュウ、ベオ(イデア界=天上の世界の人物)

ーーーガラス(フォースウォール、フィクションと現実の壁)ーーー

  • 観測者=プレイヤー、「消滅都市」の外側、現実世界

 タイヨウは上位観測者になろうとしていたように見えましたが、少し違う感じがあります。あるいは現実世界にぬっと現れるような事さえ夢見ていたのかもしれません(それをどう演出するんだ、という問題はありますが)。しかし、ここで「運営」はどこにいるんだ?となります。失われし世界以降、観測者に向けて、登場人物の誰でもない作者(書き手、もっと具体的に言えばシナリオライターの方本人)が話しかけることが多くあります。ガラスの境界線上に居るような…でもこちら側のような…この時点では結論が出ませんでした。

そしてそこが非常に…癖があるというか…メシエたちが言う通り、この呼びかけもまた自己満足のように見えると思います。この辺りは何を意図して書かれていたのか、考えれば考えるほど分からなくなります。

但し、「プログラム」のようなものは向こうから干渉できる、と言うことになっているようです。タイヨウのマスターデータ編纂発言や、「開発用:トラップチェック」などのギミックですね。ということで、ガラスの向こう側の事象のようです。通常の登場人物(ユキたち)からは観測できませんが、一応向こう側です。

物語と呪い

赤ユキと青ユキの選択や、「悪の概念」としてのタイヨウなど、物語を利用した呪いも失われし世界の特徴です。選択については悪趣味だなあと思わざるを得ません。影響は恐らく無いと言っておきながら、シナリオを分岐させたのですから。但し、これについて本当に集計していたのか、などは分かりません。元々こうなる予定だったのを、そういった演出にしているだけだということも十分に考えられます。

「物語を読む前の自分には戻れない」というのは、実にその通りだと思います。私はこの一文にハッとしました。実際、それが面白かろうとつまらなかろうと、「知ってしまう」ことだけで不可逆になってしまうのですから。この考え方を知れたことは、消滅都市をプレイしていて良かったと思えた最大の点だと思います。

また、概念としてのタイヨウ。ユキの選択と同じく、「知ってしまう」ことにより、二度ともとに戻れないというギミック…と言うよりは暗示的なものですね。一度タイヨウを悪役だと認識し、そのことを本人が言うことで、「悪」という概念と連想することを決定づけます。そして、それを忘れない限り、それを想起しないようにすることは、観測者にはほぼ不可能です。これを現実世界にタイヨウが出てきた、と考えるなら、これも良い演出だなと思います。

但し、概念としての存在としては、個人的にはゲームマスターの方が強烈でした。タイヨウはその後に何度も語られるように…どうしても「人間」としての性質が残っているように見えるのです。ゲームマスターについてもいくつか補足はありますが、彼は自身でその矛盾を受け入れ、不条理の化身としての存在をはっきりと保っています。

 

長い!!!!!(当然)

ということで、分割します。2度目の消滅以降については後編で。

 

文章置き場をつくりました

 本を読んだりゲームをやったりするばかりでは、その時何を考えたかを忘れてしまう気がする。

 

 ということで、諸々の感想や考えたことを置いておく場所を作りました。しばらくは、今までに見たり読んだりしたものについて書いていこうと思います。すぐに飽きてしまうような気もしていますが、それならそれで良いような気もしています。